登山のトレッキングポールの役割とは?使い方や歩き方を解説
これから登山を始めてみようと考えている方の中には、トレッキングポールの効果や選び方、使い方などを知りたいと思っている方もいるでしょう。
正しく使えなければ意味がないため、使い方や歩き方を事前に確認しておきましょう。
1:登山でトレッキングポールを使うとどうなる?
まずは、登山でトレッキングポールを使うことの効果について知っておきましょう。
トレッキングポールは、登山を安全に行うために必要な杖ですが、登りと下りでは使用する目的がやや異なります。なお、トレッキングポールではなく、「ストック」と呼ぶこともあります。
登りの場合
登りの場合は、トレッキングポールを使うことで推進力を得ることができます。足だけでなく、上半身の力も利用することで、楽に登れるようになるでしょう。
足だけに負荷がかからないため、疲労が軽減されます。
下りの場合
山を下っているときには、足に大きな負荷がかかります。
なぜなら、自分の体重だけでなく、荷物などの重さも片足ずつ交互にのしかかるからです。
そこで、トレッキングポールを使うことで着地時の衝撃が分散されて、足や腰への負荷が和らぎます。
また、ポールを使いながら足をゆっくりと踏み出すことで、膝への衝撃が軽減されるので、疲労や痛みの予防になるでしょう。
バランスが取りやすくなる
トレッキングポールは、登りや下りの場面だけでなく、足場が不安的な道でも役立ちます。
バランスを崩しやすいデコボコの道や、滑る危険性がある斜面で、バランスをとりやすくなるので、転倒のリスクが軽減されるでしょう。
また、うまく体を支えることで、前傾姿勢や上半身のブレを防いでくれます。正しい姿勢で歩けるようになって、体力の消耗を抑えることができます。
登山初心者にとって、心強い相棒のような存在になってくれるでしょう。
2:自分に合ったトレッキングポールの選び方
トレッキングポールには、さまざまなタイプがあります。ウェアやシューズを選ぶのと同じく、ポールも自分にとって使いやすいものを選びましょう。
使い心地だけでなく、安全性にこだわることも大切です。
また、トレッキングポールを使う必要がないときは、ザックなどに収納しておく必要があります。
邪魔にならないように、しまいやすいものを選ぶのがおすすめです。
登山に最適なトレッキングポール
登山を行う場合は、起伏に富んだ道を歩くことになるでしょう。
転ばないように、バランスをとることが重要です。
したがって、バランスがとりやすい「ダブル・タイプ」をおすすめします。2本のポールでしっかりと体を支えてくれますし、リズムよく歩けるという特徴もあります。
体力にあまり自信がない方にも、ダブル・タイプが適しています。
ハイキングにおすすめなトレッキングポール
平坦な道を歩くことになるハイキングには、「ステッキ・タイプ」が適しています。地形変化が少ないため、1本でも十分にサポートしてくれるでしょう。
また、片手が空くため、ハイキング中でも手軽に写真撮影などを楽しめます。
3:トレッキングポールの使用方法
せっかく自分に合うトレッキングポールを購入しても、使い方が間違っていると効果を発揮できません。
事前に使用方法を確認して、実際の登山でうまく使いこなせるようにしてください。
長さの調節
まずは長さを調節する必要があります。トレッキングポールを体の横で持って、まっすぐ立ちましょう。この時に、肘が直角からやや開く程度になるのが基本的な長さです。
ポールを購入するときは、基本の長さから15cmほど調節できるものを選ぶのがおすすめです。
なお、登りでは基本の長さよりも短く持って使用してください。あまり調整できない場合は、グリップの下のほうを持つことで短くできます。
平地では、腰くらいの長さで持つのがおすすめです。
一方、下りでは、基本の長さよりも長く持つのがポイントです。平地では、胸くらいの長さにして使用しましょう。
登りと下りで少し長さを変えることで、より快適に登山を楽しめるようになります。
グリップの持ち方
登りと下りによって、グリップの持ち方も変える必要があります。
まずは、「I字型」のグリップを登りで持つときの方法です。最初に手にストラップを通して、グリップを握ります。
握るときは、ストラップの下から手を通すのがおすすめです。
そうすることで手首にも荷重がかかり、負荷が分散されて、握力だけに頼る必要がなくなります。比較的楽に持てるでしょう。
続いて、「I字型」のグリップを下りで持つ方法です。
登りとは違って、グリップに手を被せるようにして上から握ってください。
登りと同じように下から握ると、手首に負荷がかかりすぎて、痛くなる可能性があるので注意しましょう。
なお、現在のトレッキングポールの主流はI字型です。
売られている商品の数が多く、選択肢が豊富なので、これから登山を始める方には特におすすめです。
I字型以外には、「T字型」というグリップのトレッキングポールもあります。
T字型を持つときは、Tの短い方を前にして、親指と人差し指で握りましょう。長い方は、中指と薬指、そして小指で握ってください。
T字型には、体重がかけやすいという特徴があります。
腕が疲れにくいため、握力が弱い方におすすめです。
さらに、I字型よりも足腰の保護が重視されている形なので、足腰が弱い方にも適しています。
4:トレッキングポールを使う際の歩き方
トレッキングポールの使用方法が分かったら、実際に使いながら歩く練習をしましょう。
平地と登り、下りでは歩き方が変わるので、それぞれの予習をしてください。全身のバランスをキープしながら歩くことが大切です。
平地での歩き方
平地では、少し前方を見ながら狭めの歩幅で歩きます。一定のリズムでリズミカルに前進しましょう。
トレッキングポールは、前に出した足と反対側を交互に突き出してください。手を大きく振りながら歩くようなイメージです。
登りの歩き方
登りでは歩幅を狭くして、トレッキングポールの推進力を利用して前に進みます。ポールは、足を出す位置よりもやや前に突きさす必要があります。
足とポールにうまく重心を移動しながら、少しずつ登ってください。
なお、ポールを突く位置が足から遠すぎるのはNGです。
腕の力で体を引き寄せる必要があって腕に負荷がかかりますし、疲労の原因になるので、遠すぎない位置に突くようにしましょう。
下りの歩き方
下りでは、平地の半分以下の歩幅で歩いてください。足場をよく見て、足の裏全体でやさしく着地しましょう。
トレッキングポールは、足を出したすぐ横、または少し下の位置に突くのがポイントです。
なお、登りと同じく、ポールを遠すぎる位置に突くのはNGです。腕で体重を支えないといけなくなり、腕を痛める可能性があります。
また、ポールを使っているからといって、体重をかけすぎないようにしましょう。
足とポールの両方を使って、バランスよく歩くことが大切です。
5:まとめ
安全に、そして快適に登山を楽しむためには、トレッキングポールを使いこなすことが大切です。
正しい方法や持ち方で使用することで、登山のサポートをしてくれます。足腰への負担が軽減されるため、疲労の予防にもなるでしょう。
初めのうちは使いこなせないかもしれませんが、慣れてくると、まるで体の一部のような感覚で使えるようになります。
使い方をしっかりと覚えて、登山を楽しみましょう。