登山でむくみが起きる原因とその対策方法を解説!むくみを解消するにはどうすればいい?
登山には言葉では表せないくらいの魅力がある一方で、苦しいことも色々とあります。
その1つがむくみで、登山のたびに下半身のむくみに苦しめられることも珍しくはありません。
この記事では登山でむくみが起きる原因とその対策方法を解説します。
1:登山中にむくみが起こる原因
男性より女性の方が登山のむくみは起こりやすいとされているように、体質も関係してくるため必ず症状が出るとは限りませんが、登山により体内の水分が滞るのがむくみの起こる基本的な原因です。
水分は血液やリンパ液の形で体内を移動しているため、血液やリンパ液が滞るとむくみにつながります。
長時間歩いたことによるむくみ
歩くことは体内の水分の流れを整えてくれそうなイメージがあるかもしれませんが、よく歩く人でもむくみに悩まされるケースはあります。
ポンプ機能を持つふくらはぎの筋肉が硬くなると、水分の流れに悪影響が出てしまうのです。
歩き方にもよりますが、登山で長時間に渡って歩いた場合はふくらはぎに負担がかかり、結果的にむくみが発生します。
脱水によるむくみ
むくみは水分が過剰だと起こりますが、逆に水分が不足している状態もむくみの原因になりかねません。
体は水分が不足していると抗利尿ホルモンにより排泄を避けようとしますので、結果的に水分が溜まりむくみが発生する恐れがあります。
激しい運動をしたことによるむくみ
登山の歩きは普段のそれとは違って激しくなりやすいため、先に書いた水分不足が起こりやすいです。
そして、水分不足とは別に激しい運動による乳酸の発生もむくみの原因で、乳酸は血液やリンパ液の流れを邪魔するためむくみにつながります。
また、激しい運動で分泌されるホルモン、アルドステロンも抗利尿ホルモンと同様に尿を減少させる働きがあるため、むくみが発生しやすくなります。
低酸素の影響によるむくみ
高所では酸素の濃度が下がりますが、低酸素状態が続くとアルドステロンの分泌が促されます。
また、低酸素状態だと平地と比べて激しい運動になりやすく、これもむくみが起こる原因です。
エネルギー不足によるむくみ
タンパク質や炭水化物が不足することもむくみの原因で、エネルギー不足の状態は体内の有害物質の発生につながります。
体が有害物質の処理に手間取ってしまうと水分の流れに悪影響が出て、結果的にむくみが起こるのです。
筋肉痛によるむくみ
筋肉痛も、エネルギー不足と同様に体内で有害物質が発生してしまうため、登山の筋肉痛によりむくみが起きる恐れがあります。
リュックサックの重さによるむくみ
ザックが重たいと肩に負担がかかりますが、神経が圧迫された時に起こる恐れがあるのがリュックサック麻痺です。
しびれ、脱力が代表的な症状ですが、リュックサック麻痺によりむくみの症状が出る場合もあります。
2:登山中にむくみを起こさないための対策方法
登山は日常的な運動とは性質が大きく異なるため、完全にむくみを避けるのは難しいのが実情です。
しかし、対策方法を意識することにより、ある程度はむくみの発生を抑えることができます。
自分のペースで歩く
登山でテンションが上がることもあるでしょうが、ペースを上げて歩くのはむくみのリスクが高まるのでよくありません。
特に、楽しむための登山では自分のペースで歩くことが重要で、無理をせずむくみのリスクを下げるようにしましょう。
こまめに水分補給する
登山では体へかかる負担が大きいため汗をかきやすく、さらにトイレをどうするのかという不安感から水分不足になりがちです。
熱中症が起きる恐れもありますので、水分補給はむくみ対策と熱中症対策の2つの意味でとても大事です。
経口補水液のように、水分だけでなく塩分を補給できる飲み物を用意しておくといいでしょう。
炭水化物を補給する
日常生活では太りやすい、血糖値が上がるなどの問題から嫌われやすい炭水化物ですが、登山では欠かせない存在です。
炭水化物は食事で補給するしかないため、おにぎりなどエネルギー源として有用な食事を用意しておきたいところです。
また、日常生活とは違って朝食、昼食、夕食の形ではエネルギーが足りなくなるケースが多いため、ゼリー飲料など炭水化物が豊富な携行食をこまめに口にすることもむくみ対策として効果が期待できます。
筋肉への負担を減らす
自分のペースで歩くことも重要ですが、同時に筋肉への負担を減らす歩き方を意識するのもポイントです。
特に問題なのがつま先に体重が集中する歩き方で、この歩き方はむくみ対策として重要なふくらはぎの負担が増します。
上りであっても下りであっても、つま先やかかとから着地するのではなく、足裏全体で着地することがむくみ防止につながります。
高山ではゆっくり歩く
初心者のうちはあまり関係がありませんが、高山に挑戦するのであれば、意識的にゆっくり歩くことを意識してください。
体が低酸素の状態に慣れていないうちに無理をすればむくみのリスクは高まりますし、高山病の症状が出る恐れもあるので危険です。
ロープウェイを使うなどして高い位置からスタートする場合、最初の1時間くらいはペースを落として体を慣らすようにするようにしましょう。
トレーニングで基礎体力を高める
先に書いたように、激しい運動はむくみの危険性が高まるものの、トレーニングで体を鍛えておくことは登山でのむくみを防ぐ効果が期待できます。
筋肉トレーニング、ウォーキングなどの持久力アップのトレーニングで準備を整えておきたいところです。
3:登山中に起きたむくみの対処方法
残念ながら、確実にむくみを避ける方法はないので、むくみが起こった場合の対処方法を知ることも重要です。
リンパマッサージをする
むくみの対症療法の定番がリンパマッサージで、リンパ液の流れを整えることで症状の緩和が期待できます。
普通のマッサージでも強めに押すことはよくないとされますが、リンパマッサージはより優しく撫でるような感じで行うのがポイントです。
特にむくみが起きやすいのが足など下半身ですが、足のリンパマッサージでは下から上に流すよう意識するとよいでしょう。
むくみ解消に効果のある飲み物、食べ物を摂る
エネルギーを消費した状態が続くのは危険ですので、炭水化物とタンパク質の補給は欠かせません。
その上で、むくみ対策の効果が期待できるのは緑茶や烏龍茶で、ポリフェノールにより血流の改善が見込めるだけでなく利尿作用もあります。
甘くエネルギー補給に最適なバナナは、体内の水分量を整える効果が期待できるカリウムを多く含んでいるので登山後の食事向きです。
ただ、カリウムにより体内の塩分を排出するバナナは注意が必要だとする意見もあるため、登山を終えてから食べる方が無難です。
お風呂に入る
性別に関わらず、お風呂の入り方は湯船派とシャワー派に分かれるものですが、むくみ対策としては湯船に浸かる方が、効果が期待できます。
入浴により体が温まれば、血管が広がり血流改善の効果が見込めるので、登山で負担がかかった体をほぐすには最適です。
リンパマッサージに加えて、こってしまった筋肉のもみほぐしをあわせて行いたいところです。
お風呂を利用できる山小屋もありますが、リラックスできるだけの十分な設備が整っているとは限りませんので、登山での泊まりのお風呂に関してはそこまで期待はできないかなと思います。
市販のむくみ解消グッズを使う
登山を終えて激しい運動のない日常生活に戻ったとしても、すぐにむくみが解消されるとは限りません。
むくみの症状がなかなか改善されないのであれば市販のむくみ解消グッズを利用するのも手で、具体例としては着圧ソックスのメディキュットや各種フットマッサージャーなどが挙げられます。寝ながらメディキュットは商品名の通り、眠っている時に着用することで足のケアができるのでお手軽です。
体質にもよるので効果があると断言はできませんが、試してみるのもよいかなと思います。
4:まとめ
むくみを起こす原因は体質を含めて色々とあるため、こうすれば確実にむくみを避けられるという便利な対策方法はありません。
しかし、紹介した原因の中で当てはまっている項目を避けたり、対策方法を意識することである程度は効果を見込めると思います。