必ず守る!知っておくべき登山のルールとタブーとは
登山にはルールがあります。自分たちは楽しんでいるつもりでも、ルール違反で他の登山者に迷惑をかけてしまうときがないとは言えないものです。
また、ルールを守ることで登山の安全性が高まり、より楽しい時間を過ごすことができます。
1:知っておくべき登山のルール
自分のレベルに合った山に登ること
まず、登る山が自分に見合ったものであることが大切なルールです。
自分のレベルは登る予定の山に合っているだろうか?と考えてみます。
難易度の高すぎる山を登ることにしても踏破できなかったり、最悪、遭難の危険もあり得ます。
初心者や体力が劣る人は、その山の登山コースの基本タイムよりも1.5倍~2倍のタイムがかかると言われています。
安全面を考えると初心者は15時までの下山が望ましいため、15時に間に合う山、ルートを選ぶようにしましょう
初心者向けの山についてはガイドブックやネットで調べやすくなっています。楽しく安全に過ごすために、自分のレベルに合った山を探したいものです。
ごみは自分で持ち帰ること
登山中に出たごみは必ず自分で持ち帰ります。携行したごみ袋などにまとめ、家で捨てることが基本ルールです。
また、山小屋にごみ箱があっても勝手に捨てるのはマナー違反です。山小屋のオーナーに許可をもらってから捨てるべきです。
ごみを持っていると荷物になって…ということもあるかもしれませんが、最初からごみを減らす工夫をしておくと便利です。持って行く食料の包装紙を剥がしておくだけでも違います。
また、カップラーメンの残り汁や飲料の飲み残しを捨てることも禁止されています。
飴やガムの些細な包み紙もその辺りに放置せず、持ち帰りが必要です。小さなことだと思えても、山の環境を守るためには必要なルールです。
登山道は登りの人が優先
登山道では登りの人、下りの人がすれ違います。少し狭い道では譲り合いが必要になるでしょう。
このとき、道を譲るのは下りの人です。登りの人を優先して先に行かせるのがルールです。
登りの人を優先する理由は、「登山ではリズムを保って登るべきであること」「下山の人のほうが先にすれ違いに気付きやすいこと」が挙げられます。
ただ、これは絶対的なルールではないとされています。たとえば登りの人数のほうが多いとき、下りの人が先に行ってしまえば長く待たせずに済みます。
先に行く側は「お先に」など挨拶をしてすれ違うと良いでしょう。
下りの人が避けるスペースがない場合もあります。このようなときにも下りの人が先に行き、安全なすれ違いを行います。
複数人で行くときは1列で歩く
複数人で山へ行くのなら、隊列にも注意が必要です。複数人での登山は「右側を1列で歩く」と覚えておくと良いでしょう。
気の合う仲間と並んでおしゃべりしながら歩きたい気持ちもあるかもしれませんが、2列以上での登山は危険を招きかねないのです。
たとえば狭い道ですれ違いが起きたとき、または追い抜きたい人が後ろから来たようなとき、2列以上で広がっていると邪魔になってしまいます。
避けようとして登山道から外れたり転倒してしまうことも考えられます。相手の怪我にも繋がることですので、他のルールと同様、しっかり守るようにしましょう。
すれ違う人に挨拶をすること
登山中の挨拶もルールの1つです。見ず知らずの人が相手でも、対向者には挨拶が推奨されます。
挨拶をすると気持ちが良く、登山ならではの雰囲気を楽しめるメリットがあります。
それと同時に、安全面でも大きな役割を果たします。万が一、誰かが遭難したときに、挨拶を交わしたが特徴を覚えている可能性があります。
何時頃にどこで挨拶を交わしたかという情報が、救出への重要な手がかりになるのです。挨拶が苦手という人も、お互いの安全のためにぜひ心がけるべきでしょう。
2:やってはいけない登山のタブー
登山のタブーをおかすことは生命の危険に直結すると言えるほど危険なものです。大袈裟ではなく、自分や仲間の生命を守るために必ず覚えておくべきです。
登山道から外れない
どのような山でも必ず登山コースが決められています。これが登山道です。どのような難易度の山でも同様です。
登山コースを外れた場所を歩くと、転落・滑落といった身体的な危険に直面する可能性があります。最悪、遭難にも繋がる行為です。
自分から意識的に外れたつもりがなくても、いつの間にか道に迷ってコースから外れていることもあります。
コースから外れていると気付いたときにはすぐ地図を確認し、確実に分かる場所まで引き返すと良いでしょう。どうしても分からなければ勇気を出して救助要請することも、生命を守るために有効な手段です。
安全面とは別に、登山道から外れないことは、高山植物や動物への影響を最低限にするという意義があります。自然保護の意識を持ち、登山道を外れないように心がける必要があります。
沢に下りないこと
もしも道に迷ってしまっても、絶対に沢に下りないことを心がけるべきです。
初心者だけではなく、レベルの高い登山者でも沢に下りないと決めている人が多いものです。
沢は思った以上に危険です。道に迷って引き返せず、沢に下りて下山を試みたとしても、滑落や転倒が原因で大怪我をしてしまう可能性があります。生命の危険が何よりも高いタブーでもあります。
「沢に下りる」という選択は、多くが道に迷ったときのものです。しかしその選択は間違っています。「道に迷ったら戻る」を鉄則にして行動するべきです。
最近ではGPSが発達し、迷ったときに活用することができます。しかしそこで沢を通る必要があるルートを考えるのは御法度です。
どれほど時間がかかると思っても、沢に下りるよりは絶対に安全です。沢を回避し、元の登山道に戻れるルートを選択しましょう。
グループをバラバラにしない
複数人のグループで登山をするとき、途中でバラバラになることもタブーです。1人で山を登っているのではなく、集団行動であることを意識するべきです。
また、集団に登山経験や体力のばらつきがあると、はぐれてしまったときに遭難の危険性が考えられます。
まずメンバー全員の体力を把握することが大切です。グループの構成も初心者ばかりではなく、登山経験のある人を数人組み込むと良いでしょう。
よくあるミスとしては、リーダー以外は全員初心者というものです。不測の事態の場合のリーダーの負担が大きく、適切な対応が難しくなります。
体力のない人、歩調が遅い人に合わせた登山スピードも意識します。先頭はリーダー、2番目からは体力がない順に並び、最後尾には体力がある人を配置して登山を行います。
先を歩く人は常に後続のスピードを意識し、距離が開かないように心がけると良いでしょう。
また、体力がある、他の人より歩調を速められると思っても、「先に行きます」と言って列を離れるのは御法度です。
「私は遅いので先に行って下さい」も同様です。遭難の危険が高まります。必ず全員で歩調を合わせ、はぐれることがないようにしましょう。
3:まとめ
自然に囲まれた山の解放感についテンションが上がってしまうこともあるかもしれませんが、最低限のルールを守らなければ、他人に迷惑をかけてしまいます。
それだけではなく、最悪は遭難の危険に繋がるものです。様々なルール、そしてタブーをしっかりと意識するべきでしょう。ルールやタブーを覚えておき、山で楽しい時間を過ごせるようにしましょう。